長年ホンダの「フィット」を乗り回している身としては、「車はそれなりに振動してうるさいもの」という認識でした。しかし今の時代、ITの力で騒音や振動を抑え込む技術が進んでいるようです。
その象徴が、日産の新型『エルグランド』にも採用された、パナソニック オートモーティブシステムの最新技術『アクティブノイズコントロール(ANC)』です。
いまやITと自動車は切っても切り離せません。
本記事では、この先進的なANCの仕組みに迫りつつ、私たちが日頃感じている「音のストレス」をITがどう解決してくれるのか、その驚きの技術を深掘りします。(
クルマの音の常識が変わる?最新技術「アクティブノイズコントロール(ANC)」の登場

自動車を維持していくというのはなかなかしんどいもので、今の時代、10年以上同じ車を大切に乗り続けているカーユーザーも少なくありません。
そのため、ハイブリッドカーや電気自動車(EV)といった新しい技術が登場している今でも、『ガソリン車に長く乗り続けていて最新のクルマには乗ったことがない⋯』という人も一定数いらっしゃるでしょう。
私も、冒頭でお伝えした通り、長年『ホンダ・フィット』を愛用しており、ハイブリッドカーやEVを運転したことはありません。
とはいえ、ロードノイズやエンジンノイズといった言葉にピンとこないほど、これまで車内の音そのものに大きなストレスを感じたことはありませんでした。
強いて言えば、エアコンをつけたときに出る「ヴォー」というファンの音くらいでしょうか…(笑)。
もっとも、エアコンを強く動かしているんだから音がうるさいのは当然だと思っていましたし、その程度で特に気になったことも正直ありませんでした。
それもそのはず、愛車であるフィットには、遮音材を適切に配置したボディが採用されていたり、エンジンノイズの高周波を不快感の少ない低周波に調整してくれたりと、メーカーが物理的にロードノイズやエンジンノイズなどのストレスを軽減してくれていたからです。
その話を知り、「なるほど…だから今まで音によるストレスをそれほど感じずにいられたのか」と深く納得したのですが、最近の自動車はさらに一歩先を行っているみたいです。
その技術というのが、パナソニック オートモーティブシステムの最新技術『アクティブノイズコントロール(以下、ANC)』。
IT技術を駆使して、ロードノイズやエンジンノイズといった音のストレス原因をスマートに削減してくれる技術なんだとか…。
Webサイト『PR TIMES』の報道によると、この技術は日産の新型『エルグランド』(XおよびGグレードの標準オーディオ仕様)に採用されているとのこと。
しかも、量産車への搭載は今回が初めてということで、早くも業界で大きな注目を浴びているようです。
引用元記事:パナソニック オートモーティブシステムズが、シリーズハイブリッド車のロードノイズとエンジンノイズの双方に対応する世界初の統合型ANCを開発、日産新型「エルグランド」に初採用
果たして、この「ANC」という技術がカーユーザーたちにどのような評価をもたらし、より多くのドライバーにストレスフリーな運転を実現してくれるのか、これからの進化に大いに期待したいものですね。
ドライバーが受けるノイズを削減しストレスフリーな運転を実現させる『アクティブノイズコントロール(ANC)技術』とは?

さて、エンジンノイズ・ロードノイズというドライバーが日々運転中に受けるノイズによるストレスを除去する画期的なIT技術として注目を受けているANCという技術ですが、一体どの様な技術なのかすごく気になりませんか?
では、これらのストレスを受けるノイズやANCという技術の詳細を掘り下げて見ていきましょう。
エンジンノイズとは?

エンジンノイズとは、自動車が走行する際、エンジン本体の爆発音(燃焼音)やピストンの稼働音、加速時の回転に連動して響く「ブーン」といううなり声などのことです。
故障などではなく、車が正常に動いているときであっても、アクセルを踏み込んで加速するたびにどうしても発生してしまう避けられない音の一つです。
もちろん、これまでの自動車もただ黙って聞き流していたわけではありません。
多くの自動車は、多少車体が重くなってしまうデメリットを承知の上で、エンジンルームのまわりに遮音材や吸音材を適切に配置するなど、物理的な施策を施すことでこのノイズをコツコツと減少させてきました。
ロードノイズとは?

ロードノイズとは、車が走行している最中に、タイヤの接地部分(トレッド面)が路面とこすれ合ったり、細かい凹凸の衝撃を受けたりすることで発生する騒音のことです。
車内には主に「ゴーッ」や「シャーッ」という低くて重たいこもり音として響いてきます。
荒れたアスファルトや高速道路を走るときに大きくなりやすく、ドライバーが長時間の運転で知らず知らずのうちに疲労を感じてしまう大きな原因の一つでもあります。
アクティブノイズコントロール(ANC)のメカニズム

このように、性質のまったく異なる「エンジンノイズ」と「ロードノイズ」という2大ストレスに対し、これまでの自動車業界は、車体に分厚い遮音材や吸音材を詰め込むという「物理的な防音」で立ち向かってきました。
しかし、車をこれ以上重くせずに、もっとスマートに音をかき消せないか――そこで登場したのが、最先端のIT技術を駆使した「アクティブノイズコントロール(ANC)」というわけです。
ITを駆使したANCという最新技術は、身近なところで言えば、ワイヤレスイヤホンなどに搭載されている「ノイズキャンセリング機能」と同じ原理です。
イヤホンは耳のすぐ近くの音を消しますが、これをクルマの広い車内空間全体に応用するのが今回の画期的なポイントです。
マイクで車内のノイズ(エンジン音やロードノイズ)をリアルタイムに拾い上げ、コンピューターがその音とは「逆の位相(波形)」の音をスピーカーから作り出すことで、不快な騒音をまるでパズルのピースがハマるかのように相殺し、消し去ってしまうのです。
正直なところ、ノイズキャンセリング機能がワイヤレスイヤホン以外でも取り入れられているなんて、これまで全く想像もしていませんでした。
しかし、自動車業界でもこうした「逆の位相の音を創り出して相殺するシステム」が開発されていたとなると、ますます私たちの暮らしにITが密接に関わっているのだと感慨深いものがあります。
ワイヤレスイヤホンに馴染みのあるようなIT技術が、車載用へと形を変えてドライバーのストレスを大きく軽減してくれるのであれば、これほど嬉しい話はありませんね。
今回のニュースでもうかがえるITと生活様式の繋がり方

ここまでお話してきたように、もはやIT技術は、パソコンやスマホといったデバイス、あるいはワイヤレスイヤホンなどの周辺機器だけにとどまることなく、自動車といった私たちの暮らしに深く密着する形で進化を遂げています。
もちろん、これはほんの一例に過ぎません。
空間のノイズを和らげる卓上防音グッズが登場していたり、企業が新たな空間ノイズキャンセリング技術の開発に取り組んでいたりと、音のストレスに対するアプローチはどんどん広がっています。
さらに技術のジャンルは違いますが、マイボトルに入った飲み物の温度をスマートに表示するシステムが登場するなど、ありとあらゆるところでITが私たちの暮らしに入り込んでいるのだと、今回のニュースを通じて改めて痛感させられた気がします。
今後、AIやさまざまな最新技術が普及していくことで、さらに多くの生活用品がITとつながっていくことでしょう。
少なからず、これからの世の中がより便利になっていくことは間違いありません。
だからこそ、私たち自身も変化する技術を少しずつ知り、正しく付き合っていくこと。
それが、誰もがより快適で心地よいライフスタイルを手に入れる素敵なきっかけになっていく――心の底から、そう願わずにはいられません。
まとめ
今回は、日産『エルグランド』に量産車として世界で初めて搭載されたと報じられた、最新IT技術『アクティブノイズコントロール(ANC)』について解説いたしました。
普段私たちが車を運転しているときに発生するエンジンノイズやロードノイズを、ITの力で「逆の波形の音」を作り出して相殺してしまう――。
ワイヤレスイヤホンのノイズキャンセリングのような技術が、広い車内空間全体に応用されているという事実に、私自身も今回初めて触れてとても驚かされました。
今後、こうしたIT技術はさらにさまざまな形で、私たちの暮らしやクルマ社会へと波及していくことでしょう。
その便利な進化にただ流されるのではなく、私たち自身も新しい技術を楽しく知り、正しく使いこなしていくこと。
それが、心地よくてストレスのない豊かな社会を築いていく、大きな一歩になっていくのではないでしょうか。




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