まだスリープ機能がそれほど普及していなかった何十年か前、パソコンを使わないときは「こまめに電源を切る」のが常識とされていました。
それは他の家電製品と同じ感覚でしたが、時代が進みスリープ機能が主流になってからは、「短時間なら電源を切るよりスリープのほうが良い」という意見も耳にするようになりました。
私自身、近年はスリープ機能を多用していますが、こまめに電源を切っていた昔と比べて、体感的にパソコンが長持ちしている気もします。
では実際のところ、電源を切るのとスリープさせるのとでは、どのような違いがあるのでしょうか?
本記事ではその違いを解説しながら、どちらがパソコンを長持ちさせやすいのかをまとめていきます。
パソコンの電源を切って文鎮化してしまった私の体験談

私自身、過去にパソコンの電源を切ったまま「文鎮化(動かなくなること)」させてしまった苦い経験が2度あります。
1度目は、10年以上前の自作PCでの話です。
当時はマザーボードやグラフィックボードなどを必要に応じて組み替えていましたが、電源ユニットだけは10年ほど愛用していました。
しかしいくら大事に使っていても限界は来るもので、ある日突然、電源が入らなくなってしまったのです。
当時は日常的に電源のオンオフを繰り返していたため、もしかしたら起動時の負荷などが影響していたのかもしれません。
もっとも、当時はそれが「正しい使い方」だと信じていましたし、単にパーツの寿命だったのだろうと今でも思っています。
2度目は、SONYの『VAIO』を使っていた頃のことです。
前回の反省もあり、この頃は10分程度の離席やちょっとした外出であれば、電源を切らずにノートPCの画面を閉じるだけに留めていました。
ところが、久しぶりに実家へ帰省した際、久しぶりにきちんと電源を落としました。
そして自宅に戻り、いざ電源を入れようとすると……何一つ反応せず、そのまま文鎮化してしまったのです。
これら2つの体験を経て、私は恐怖から「よほどのことがない限り電源を切らない」スタイルになりました。
もちろん、どちらもバッテリーやパーツの寿命だった可能性は高いです。
しかし、電源の頻繁なオンオフがパソコンに少なからず負担を与えていたのではないかとも感じています。
果たして実際のところ、どれくらいパーツに負担がかかるのか。
そして電気代にはどれほどの差が出るのか。
改めて詳しく深掘りしていきたいと思います。
電源オンオフによるパーツへの負荷と電気代の差

私も2度の文鎮化を経験している身なので、「パソコンの電源オンオフを繰り返すことは、パーツになんらかの負担をかけているのだろうな」ということは薄々感じていました。
ただ、当時は具体的な検証をしたわけではなく、あくまでイメージの域を出ない話でした。
そこで、勉強の意味も込めて「電源のオンオフによってどれくらいパーツに負荷がかかるのか」、そして「どれくらいの電力を消費するのか」を改めて調べてみました。
結論から言うと、パソコンの電源を入れる瞬間には、電源ユニットやマザーボード、CPU・GPUといったパーツに対して、通常稼働時の数倍に及ぶ一時的な大電流(突入電流)や急激な発熱が発生します。
消費電力量で換算すると、起動1回あたり約5Wh〜15Wh程度を消費すると言われています。
しかも、経年劣化が進んでいるパーツにこの起動時の急激な負荷がかかることで、それが「トドメ」となって壊れてしまうケースも少なくないそうです。
おそらく、私が過去に経験した2度の文鎮化も、長年使って劣化していたパーツが、電源を入れた瞬間の負荷に耐えきれなくなったことが原因だったのでしょう。
起動時にこれだけの負荷がかかるのであれば、それを長年何度も繰り返すことで、最終的に壊れてしまうのも納得がいきます。
スリープモードとの負荷(消費電力)の違い

「起動時に負荷がかかるなら、ずっと電源を入れっぱなし(スリープ)にすればいいのでは?」と思うかもしれませんが、スリープ中もわずかに電力が発生し、パーツに通電し続けています。
そのため、どちらが良いのか判断するには「スリープ中の負荷」と比較する必要があります。
早速、調べてみたところ、スリープ中の消費電力は1時間あたり約0.5W〜1.5W(0.5Wh〜1.5Wh)程度でした。
これを計算すると、「1回の電源オンオフでかかる負荷や消費電力は、スリープ状態で数時間放置したときと同等」ということになります。
つまり、2〜3時間程度の離席や外出であれば、こまめに電源を切るよりもスリープモードにしておくほうが、パソコンにかかる電気的な負荷を格段に抑えられるということが分かりました。
しかも、スリープモードはパソコンを「一時的に休ませている状態」にすぎないため、電源オンオフのような急激な電圧の変化や温度変化が起きません。
技術が進んだ現代のパソコンにおいては、短時間の離席なら「電源を切らない(スリープさせる)」ほうが賢明と言えそうです。
電源オンオフとスリープモードでの電気代の差

パーツへの負荷や消費電力については、2〜3時間程度の離席であれば、電源をオンオフするよりもスリープモードにしておく方が負担が少ないと分かりました。
では、気になる「電気代」はどちらが経済的なのでしょうか?
これも結論から言うと、2〜3時間程度の外出であれば、スリープモードの方が電気代も安く経済的です。
電気代は、実際に消費した電力量(kWh)に応じて変わります。
目安単価である「1kWh=31円(税込)」を基準に試算してみましょう。
- 電源のオンオフ(起動1回あたり): 約0.15円〜0.46円
- スリープモード(1時間あたり): 約0.015円〜0.046円
このように比較してみると、起動1回にかかる電気代は、スリープモード約3〜10時間分に相当します。
そのため、2〜3時間程度の離席であれば、こまめに電源を落とすよりもスリープモードにしておく方が電気代がかかりません。
結果として、パーツへの負担だけでなく電気代の面で見ても、短時間ならスリープモードの方がお得なのです。
パソコンは「電源オンオフ」と「スリープ」どっちが良い?使い分けの基準

パーツへの負担と電気代の両面から検証してきましたが、結局のところ、私たちは日常の中でどちらを選べば良いのでしょうか?
結論から言うと、「離席する時間」によってスマートに使い分けるのが正解です。
具体的な目安は以下の通りです。
【離席が「2〜3時間以内」の場合】 ➔「スリープモード」
食事や買い物、ちょっとした外出程度であれば、スリープが最適です。
起動時の突入電流によるパーツへの負担を抑えられ、電気代の面でもお得(またはほぼ同等)になります。
実際に私が愛用している「M1 MacBook Air」でも、2〜3時間ほどの外出時はスリープモードにすることが多いのですが、これまでトラブルが起きたり電気代が高騰したりしたことは一度もありません。
パーツへの負荷も抑えられると今回改めて分かりましたので、短時間の外出時は今後もスリープモードを継続していこうと思います。
【「夜寝るとき」や「丸一日以上使わない」場合】 ➔「電源を切る(シャットダウン)」
長期間使わない場合は、しっかり電源を落としましょう。
いくらスリープの負担が少ないとはいえ、通電し続けることでパーツは少しずつ消耗します。
また、落雷などの突発的な停電トラブルからPCを守るためにも、長時間の放置時は電源を切るのが安心です。
確かに、長時間パソコンを起動しっぱなしにしていると、「あれ? なんだか動きが重いかも……」と感じることがたまにありますよね。
それだけ内部にはじわじわと負荷が溜まっているのだと思います。
こまめにオンオフする必要はないとはいえ、就寝時や何日も使わないような状況であれば、一度しっかり電源を落とすのがベストです。
「こまめな電源オフ」よりも「賢い使い分け」を

過去の私のように「PCを長持ちさせたいから」と、数十分〜1時間程度の離席でこまめに電源を点けたり消したりするのは、かえってパーツにダメージを与えて寿命を縮める原因になりかねません。
現代のパソコンにおいては、「日中の短時間はスリープ、一日の終わりにはシャットダウン」というスタイルが、パソコンを最も長持ちさせる賢い付き合い方と言えそうです。
電気代の節約はもちろんのこと、せっかく購入した大切なパソコンを少しでも長く愛用していくために、電源オンオフとスリープモードを賢く使い分けて、パーツに負荷をかけすぎない運用を心がけていきましょう。
まとめ
今回は、パソコンの電源オンオフとスリープモードの違いやパソコンに掛かる負荷の割合、電気代の差を調査しまとめました。
調査の結果、パソコンの電源を入れる瞬間には突入電流や急激な熱変化が発生し、パーツへ大きな負荷が掛かることが分かりました。
一方でスリープモードは負荷が非常に小さく、2〜3時間程度の離席であればスリープの方が電気代・パーツへの負担ともに抑えられます。
大切なパソコンを長持ちさせる秘訣は、こまめな電源オフではなく「賢い使い分け」です。
日中の短時間の離席ならスリープを活用し、就寝時や長期間使わない場面ではシャットダウンを行う運用を心がけましょう。
電源オンオフとスリープモードの特性を正しく理解し、状況に合わせて適切に使い分けることで、電気代を賢く節約しながら愛機と長く付き合っていきましょう。




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