第10話『歪んだ黄金世代と匿名の刃(前編)』

小説『電脳の竜と白理の狼 〜デジタルハッカーと明治のリーガル・ガール〜』

いつも『電脳の竜と白理の狼』をお読みいただきありがとうございます!

学校を脅かすカツアゲ事件を無事に解決し、彩華のノートPC購入という名目で秋葉原デートが敢行された前回。

曇りがちだった彩華に笑顔が戻り、綾音との距離もぐっと縮まる実に喜ばしい結末となりました。

しかし、そんな二人やT.C.S.Lメンバーの前に、再び暗雲立ち込める事件が勃発します。

果たしてT.C.S.Lはこの難事件を解決できるのでしょうか?

まずは事件勃発編となる第10話を進める前に、前回のあらすじを振り返りましょう。

【第9話あらすじ】
事件解決のご褒美として片桐から貰った20万円を手に、彩華のノートPCを買うため秋葉原へ向かった神城綾音と橘彩華

明治からやってきた彩華は見るものすべてに困惑するも、綾音のぶっきらぼうながら優しいサポートに終始胸をときめかせます。

無事に目的以上のノートPCを購入できただけでなく、綾音への思いも深まり、彩華にとって忘れられない一日となったのです。

神城綾音の脳内プロット:第10話『歪んだ黄金世代と匿名の刃(前編)』

政治家・官僚などなど、様々な分野で著名人を輩出してきている私立・妃比谷高校。

政治経済学部・進学コースや、彩華が所属する法学部進学クラスなどの特進クラスも構え、学業も全国トップクラスを誇っているが、決して部活動をおろそかにしているわけではない。

彩華のクラスメイトである夏見菖蒲は、女子陸上でインターハイ上位に入る実力を見せているし、同じくサッカー部もU-18代表へと何名か輩出している。

そんな文武両道を誇ってきたからこそ、今回発生した事件は看過出来ないものとなったのかも知れません…

彩華と綾音が秋葉原デートをすまし、彩華のPCも調達してウキウキだったある日の放課後、学校帰りに明らかに顔色真っ青な女子生徒を発見!

その生徒は、上条陽向(かみじょうひなた)。

妃比谷高校サッカー部の女子マネージャーをしている1年生である。

ある日の放課後、T.C.S.Lの面々である彩華・菖蒲・結衣が下校する中、ふとジャージ姿で青ざめた表情を浮かべる姿を見せた女子生徒を目撃⋯

明らかに変な様子だっただけに、彩華たちが近づくと、どこかで見覚えのある顔だった⋯

そう、彼女は妃比谷高校サッカー部の有名女子マネージャー上条陽向であり、メディアでも度々取り上げられる彼女の姿は満面の笑みを絶やさない明るく太陽のようなイメージの女子生徒⋯

明らかにその姿とは異なっていただけに違和感を覚えた彩華は、「どうしたの?」と駆け寄ると、ガタガタ震えながら陽向は、「これ……今日の昼休みに、知らないSNSのアカウントから送られてきたんです……」と自身のスマホに送られたSNSのメッセージを見せ始めた。

そのメッセージには、陽向が部室の物陰で着替えをしている最中の、プライベートな盗撮写真を添えて「今日の放課後、指定の場所に来い。断ったらこの写真を全校生徒のグループチャットと、学校の公式問い合わせフォームに流して退学に追い込む」という脅迫文が綴られていた。

「酷い」⋯

彩華たちは思わず息を呑みつつ、陽向に「犯人の心当たりは?」と問うと、同じサッカー部でU-18代表にも選出されているエース・佐山利通(さやま としみち)の名前が出てきた。

どうやら、陽向は、佐山や、同僚で同じくU-18に選出されている宮内崇・森田浩平に、以前から「俺達の指示に従え」と言われ嫌がらせを受けていた模様⋯

その話を聞いて、「学校に相談した?」と結衣が陽向に問うが、陽向からは「そんなこと出来るはずがない!佐山先輩の脇を固める二人の親が誰かご知顔ないのですか?」と返答される⋯

実は、宮内の父親は現職のJFA(日本サッカー協会)会長、さらに、森田浩平の父親は現役の日本代表監督・森田一浩で、サッカー界の重鎮であり権力者でもある。

そんな人に日本のU-18代表を担う黄金世代が権力を振りかざそうものなら、例えそんな選手を輩出するサッカー部の有名女子マネージャーといえど逆らえるわけがない。

しかも、佐山の父親は、スポーツ庁長官・佐山寛なのだから、そりゃ逆らえないと思うのも無理はない⋯

実際に、中途半端に疑念を抱くと、何をしでかすかわからない連中だと理事長・片桐果弦のブラックリストに乗るような連中だ⋯

「またしても、権力を振りかざしやりたい放題の連中が事件を犯しているというのか⋯」

彩華は唇をグッと噛みながらも、その怒りをなんとか堪えつつ、何としても陽向の窮地を救い、この事件を解決しようとT.C.S.Lの面々とともに立ち上がるのだった。

AIが作ったストーリー:第10話『歪んだ黄金世代と匿名の刃(前編)』

私立・妃比谷高校。
政治家や官僚をはじめ、多種多様な分野で活躍する著名人を数多く輩出してきた名門校である。政治経済や法学といった特進クラスを擁し、全国トップクラスの学業実績を誇る一方で、スポーツの分野でもインターハイ上位を狙う陸上部や、世代別の日本代表選手を擁するサッカー部など、まさに「文武両道」を体現していた。

だが、光が強ければ強いほど、その裏に生じる影もまた濃く、暗い。

秋葉原での買い出しを終え、彩華の調査環境を大きく一歩進める新たな「アイテム(ノートPC)」を手に入れた彩華と綾音。
前のタブレットPC盗難・破壊事件をきっかけに「もっとデジタルを知りたい」と目覚めた彩華にとって、自分の相棒となるノートPCを手に入れられた喜びはひとしおだった。さらに、買い出しの道中で見せた綾音のぶっきらぼうながらも温かい優しさに触れ、彼女との距離がぐっと縮まったことも、彩華の心を温かく満たしていた。
手に入れた大切な『アイテム』への期待と、綾音と過ごしたかけがえのない時間への愛おしさ——胸の奥に芽生えた甘酸っぱい高揚感を残したまま、数日が過ぎたある放課後のことだった。

T.C.S.Lのメンバーである橘彩華、夏見菖蒲、そして神城結衣の三人は、賑やかな校舎を後に下校の途につこうとしていた。その時、彩華の視線が中庭の端で足を止める。

そこにいたのは、学校指定のジャージに身を包み、まるで冬の嵐に晒されたかのようにガタガタと全身を震わせている一人の女子生徒だった。顔色は土気色に青ざめ、呼吸すら浅くなっている。

「……ねえ、あの子……」

彩華たちが近づくと、すぐにその顔に見覚えがあることに気づいた。
上条陽向——妃比谷高校サッカー部を支える有名女子マネージャーであり、その弾けるような満面の笑みと健気な姿から、メディアでも「勝利の女神」として取り上げられるほどの有名人だった。普段の太陽のように明るい印象は影を潜め、今の彼女からは絶望のオーラしか感じられない。

「どうしたの……!?」

明らかに異様な雰囲気を察した彩華が駆け寄り、優しく声をかける。陽向はビクッと肩を跳ね上がらせると、涙で濡れた大きな瞳で彩華たちを見上げ、震える指先で自身のスマートフォンを差し出してきた。

「これ……っ。今日の昼休みに、知らないSNSのアカウントから送られてきたんです……」

表示された画面を目にした瞬間、彩華たちは息を呑んだ。
そこにあったのは、部室の物陰で陽向が着替えをしている最中の、卑劣極まりないプライベートな盗撮写真。そして、言葉を失うほど残忍な脅迫文が添えられていた。

『今日の放課後、指定の場所に来い。断ったらこの写真を全校生徒のグループチャットと、学校の公式問い合わせフォームに流して退学に追い込む』

「酷い……!」

結衣が思わず胸元を抑え、菖蒲は憤怒に拳を強く握りしめる。彩華は言葉を詰まらせながらも、冷静さを保とうと努めて陽向の目を見つめた。

「犯人に……心当たりはあるの?」

問いかけられた陽向の唇が、恐怖で細かく跳ねる。

「……同じサッカー部で、U-18代表にも選ばれているエースの……佐山利通(さやま としみち)先輩です……。それに、同じく代表に選ばれている宮内崇先輩と、森田浩平先輩……」

陽向の口から漏れ出たのは、以前から「俺たちの指示に従え」と不当な嫌がらせを受けていたという衝撃の事実だった。

「そんなの、すぐに学校に相談した!?」

結衣が叫ぶように問うが、陽向は絶望に満ちた首を横に振るばかりだった。

「そんなこと、できるはずがありません……! 佐山先輩の脇を固める二人の親が、誰かご存知ないのですか……!?」

陽向が明かしたバックボーンは、高校生の嫌がらせの域を遥かに超えていた。
宮内崇の父親は、現職のJFA(日本サッカー協会)会長。
森田浩平の父親は、現役のサッカー日本代表監督・森田一浩。
そしてグループの頂点に立つ佐山利通の父親に至っては、現・スポーツ庁長官である佐山寛その人であった。

日本のスポーツ界、そして政界にすら根を張る絶大な権力者たちの息子——まさに「黄金世代」と甘やかされて育った彼らは、親の権力を盾にやりたい放題を繰り返してきたのだ。中途半端に牙を剥けば、どんな報復が待っているか分からない。実際、理事長である片桐果弦のブラックリストにもその名が刻まれるほどの、極悪非道な連中だった。

(またしても……権力を振りかざし、やりたい放題の連中が事件を起こしているというの……!?)

弱者である一人の女子生徒を追い詰め、未来すら奪おうとする卑劣な悪意。
彩華は怒りのあまり激しく唇を噛み締め、爪が手に食い込むほど握りこぶしを作った。こみ上げる激情をなんとか抑え込みながら、彩華は真っ直ぐに陽向の目を見つめ返す。

「大丈夫よ、上条さん。……絶対に、あなたをそんな奴らの思い通りにはさせない」

陽向の窮地を救うため、そして権力の陰に隠れた匿名の刃を打ち砕くため。
秋葉原で手に入れた「新たな武器」を胸に、彩華とT.C.S.Lの面々は、巨大な悪意へと立ち向かうべく静かに動き出すのだった。

次回予告

笑顔が似合う勝利の女神的存在のサッカー部女子マネージャー上条陽向に対するリベンジポルノ・脅迫事件。

その加害者が国家規模の権力を背景に持つ「サッカー界の黄金世代」というのだから実にタチが悪い。

陽向の血相が変わっている姿を目撃したT.C.S.Lの面々は、この姑息な連中の愚行を電脳と法律の力を駆使して暴きひれ伏すことが出来るだろうか⋯

第11話「歪んだ黄金世代と匿名の刃(後編)」

『権力を盾にした卑劣な悪意に、法と電脳の裁きを下す!』

次回もお楽しみに!

まとめ

『電脳の竜と白理の狼』第10話をお読みいただき、ありがとうございました。

笑顔を絶やすことなく前を向く、ポジティブなサッカー部女子マネージャー・上条陽向をも恐怖で震わせる卑劣な犯罪行為に、誰もが強い憤りを覚えたことでしょう。

当然、彩華たちT.C.S.Lの面々も黙ってはいません。

たとえ相手がスポーツ庁長官やJFAトップ、そしてサッカー日本代表監督といった巨大な権力であっても、怯むことなく凶悪な敵へと立ち向かっていきます

果たして、T.C.S.Lの面々は今回も事件を解決し、被害者である上条陽向を救うことができるでしょうか?

第11話はいよいよ解決編となりますので、引き続き温かい目で見守っていただけたら幸いです。

どうぞ次回もお楽しみに!では、今回はこのへんで。

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