第7話『帷に隠されし不正トランザクション(校内恐喝隠蔽)事件(前編)』

小説『電脳の竜と白理の狼 〜デジタルハッカーと明治のリーガル・ガール〜』

『電脳の竜と白理の狼』をお読みいただきありがとうございます!

タブレットPC事件を解決し、彩華や綾音たちによる影の探偵倶楽部『T.C.S.L』が結成されましたが、早速次の事件が忍び寄ります。

今回はどんな事件が起き、彼らはどう立ち向かうのでしょうか?

まずは前回の第6話を振り返ってみましょう

第6話あらすじ
タブレットPC事件は、大物政治家を祖父に持つ浅田秀一郎の犯行と判明。

しかし権力により弁償という形で揉み消されてしまう。

歯がゆい彩華だったが、後に揉み消し費用が収支報告書未記載と発覚し、浅田一家は失脚。彩華は少し胸をスカッとさせる。

数日後、理事長・片桐の誘いで祝賀会が開かれ、彩華・菖蒲・結衣・綾音、そして片桐で影の探偵倶楽部『T.C.S.L』が結成されるのだった。

神城綾音の脳内プロット:第7話『帷に隠されし不正トランザクション(校内恐喝隠蔽)事件(前編)』

タブレットPC窃盗・破壊事件から数日後、私立妃比谷高校の理事長室に一本の電話が鳴り響いた。

受話器を取ってみると、近所のゲームショップの店長からで、どうやら妃比谷高校の生徒が万引きしたとのこと⋯

事情をその生徒から聞くと、お金に困っていて、ゲームを盗んでそれを転売しようと考えていたらしい。

それにしても、何故、そんなにお金に困っていたのだろうか?

さらに詳しく生徒から話を聞くと、どうやら、とある生徒に上納金を納めないと暴行されると脅されていたことが判明。

さらに、この万引きが発覚した生徒の証言によると、別の生徒からカツアゲするか、万引きするかして金を工面すれば良いとまで言われていたという。

ではそんなカツアゲをしていた犯人は誰なのか?

その犯人とは、新和党所属の大物議員・竹尾統宏(たけおむねひろ)を親に持つ竹尾統勇摩(たけおゆうま)だというのだが⋯

証言による証拠を引っ提げ、法廷闘争することも可能だが、大物議員がバックに居るだけに、物的証拠もない状況で下手に手を出すことが出来ず、頭を抱えていた片桐⋯

別の日⋯

何気なく学校生活を満喫していた彩華・菖蒲・結衣の周りで、奇妙な光景を多数目にする。

それは、廊下をすれ違う生徒たちが、それぞれスマホを使って何かしらのやり取りをしているみたいだ⋯

もちろん、ただのスマホゲームか何かのデータのやり取りの可能性もあるので、不思議な感覚を抱きながらも彩華たちはそのままスルーしていたのだが、一部の生徒は金銭を授受していたので、これはおかしいと、問いただす⋯

すると、ここでも竹尾の名前が出てきたのだ。

彩華・菖蒲・結衣の3人は、万引事件のことを知らずに、片桐に、事情を説明に行くと、どうやら、竹尾統勇摩という経済学部進学コース2年の生徒が、下級生や立場の弱い生徒にカツアゲしているという話を理事長・片桐から聞かされる。

しかも、たちの悪いことに、電子マネーや仮想通貨まで使って、巧みに金銭授受をしていた可能性があるというのだ⋯

全て合点がいった彩華は、すかさず経済学部の乗り込む彩華⋯

竹尾にカツアゲは事実なのか?と問いただすが、当の本人は『何いっているんだ⋯そんな金など貰っていない。ただ預かって管理してやっているだけだ。』と切り返す。

カツアゲしている決定的物的証拠がない以上下手に手を出せずに、綾音に相談するがすぐに答えは出なかった。

モニター越しに様子を見ていた神城綾音も『野郎ふざけやがって⋯俺の電脳ハッカーとしての能力舐めるんじゃねえぞ!絶対に金の流れ暴いて裁いてやるからな⋯』と、一人つぶやきながら、まずはいろはたちが帰宅後、チームで作戦会議を開くことになったのだった⋯

AIが創ったストーリー:第7話『第7話:『帷に隠されし不正トランザクション(校内恐喝隠蔽事件・前編)』

あのタブレットPC破損事件から、数日が経過した頃のことである。

私立妃比谷高校の理事長室。重厚な革張りのソファが並ぶ室内に、不機嫌な電話の呼び出し音が鳴り響いた。
理事長の片桐(かたぎり)が受話器を取ると、相手は学校の近くにあるゲームショップの店長だった。

『──ああ、片桐理事長ですか? 実はですね、お宅の生徒さんが店でゲームソフトを万引きしようとしましてね。今、警察を呼ぶ前に店で保護しているんですが……』

店に駆けつけた片桐が事態を問い正すと、捕まった男子生徒は震えながら、涙目で理由を告白した。
「お、お金に困っていて……盗んだゲームを別の買取店で転売して、現金を作ろうと思ったんです……」

名門校の生徒が、なぜそこまで追い詰められていたのか。片桐がさらに深く問いただすと、生徒の口から恐ろしい事実が飛び出した。

「上納金を……期日までに納めないと、ボコボコに暴行するって脅されていて……! 『金がないなら別の奴からカツアゲするか、店で万引きでもして工面しろ』って……っ!」

被害者が、次の犯罪へ駆り立てられる構造化された恐喝。
その影で糸を引いていたのは、与党・新和党の大物議員である竹尾統宏(たけお むねひろ)を父親に持つ、2年生の竹尾統勇摩(たけお ゆうま)だった。

「竹尾か……」
被害生徒の証言があれば警察に突き出すことも可能だが、相手の後ろには巨大な政治権力が控え、現段階では決定的な「物的証拠」がない。下手に動けば学校ごと揉み消される──片桐は苦々しい表情で頭を抱えるしかなかった。

別の日。
転校生の橘彩華(たちばな いろは)は、クラスメイトの夏見菖蒲(なつみ あやめ)、二階堂結衣(にかいどう ゆい)と共に、穏やかな学校生活を送っていた。

しかし、廊下を歩いていた彩華は、ふと違和感を覚えて足を止めた。
「……妙ですわね」

すれ違う生徒たちが、そこかしこでスマートフォンを操作し、不自然に身を寄せ合っている。
単なるゲームのデータ交換や連絡先の交換とも思えたが、どこか緊張感が漂っていた。そして、突き当たりの曲がり角で、彩華の鋭い目が逃さなかった。

怯えた表情の下級生が、必死にスマホの画面を操作し、差し出した手元で、上位学年の生徒へ「何か」を電子的に送金させられている光景を。

「……そこのお方、少々よろしいかしら?」

彩華が声をかけると、上位学年の生徒はチッと舌打ちをして逃げ去り、残された下級生は今にも泣き出しそうな顔で立ち尽くした。
彩華、菖蒲、結衣の3人が事情を尋ねると、怯える生徒の口から漏れ出たのは、やはりあの名前だった。

「た、竹尾先輩に……送金しろって言われていて……」

「実は、そういうことなのだ、橘君」

万引き事件の件を知らないまま、事態を報告しに理事長室を訪れた彩華たちに対し、片桐は重い口を開いた。
経済学部進学コース2年の竹尾統勇摩が、下級生や立場の弱い生徒を対象に、組織的なカツアゲを行っていること。そして質の悪いことに、足跡を残さないよう、電子マネーや仮想通貨を使った「暗号資産送金」で巧妙に集金を行っている可能性があること──。

「電子通貨を利用した不法な搾取……! 人の弱みにつけ込み、現代の技術を悪用するなど、断じて許し難い不逞の輩ですわ!」
彩華の明治の正義感が激しく燃え上がった。

「彩華ちゃん、待って!」
止める菖蒲を振り切り、彩華はまっすぐ経済学部の教室へと乗り込んだ。

教室の奥、取り巻きに従えて優雅にソファへ腰掛けていた男こそが、竹尾統勇摩だった。
彩華は竹尾の目の前に歩み寄ると、毅然とした態度で言い放った。

「竹尾様! あなたが下級生や立場の弱い生徒たちから、電子マネーを用いて不当なカツアゲを行っているというのは、事実でございますか!?」

周囲の生徒たちが息を呑む中、竹尾は可笑しそうに口元を歪め、優雅に脚を組み替えた。

「ははっ、何をおかしなことを言っているんだい、転校生さん? カツアゲ? 金を奪う? 何のことだかさっぱり分からないね」
竹尾は冷ややかな笑みを浮かべ、彩華をあざ笑うように吐き捨てた。

「俺はそんな金など一銭も貰っていないよ。……ただ、彼らが『自分では管理できないから預かってほしい』と頼んできたから、親切心でただ預かって管理してやっているだけだ。頼まれればいつでも返すつもりだしね。それが何か罪になるのかな?」

「預かっているだけ……ですと!?」

「証拠もないのに不躾な冤罪を着せるのはやめてくれないか。父親の法廷に訴えてもいいんだぞ?」

法律の隙間を突くような白々しい嘘。決定的な「資金移動のデータ」という物的証拠がない以上、これ以上その場で追求することは出来なかった。彩華は悔しさに唇を噛み締めながら、撤退を余儀なくされた。

『──あの野郎、ふざけやがって……』

通信の向こう側、暗い自室のモニター越しに一部始終を見ていた神城綾音(かみしろ あやね)は、怒りでキーボードを強く叩きつけた。

無数の青いログが、綾音の瞳を怪しく照らす。
『「預かってるだけ」だあ? 足跡がつかない暗号通貨を使って、スマートに逃げ切ったつもりでいやがるな……。俺の電脳ハッカーとしての能力を、舐めるんじゃねえぞ。絶対にその汚ねぇ金の流れを白日の下に晒して、完膚なきまでに裁いてやるからな……!』

モニターに映る竹尾のニヤけた顔を睨みつけ、綾音は低く狂暴に呟いた。

「おい、彩華。一旦引いて正解だ。……今夜、お前たちが帰宅してから、チームで『作戦会議』を始めるぞ。あの不遜な政治家のバカ息子を、電子の檻に叩き込んでやる」

「……畏まりました、神城様。徹底的に、参りましょう」

かんざしの通信機に手を当て、彩華は静かに正義の炎を宿した瞳を輝かせるのだった。

次回予告

『金銭授受などしていない……金銭はただ預かって保管してあげているだけ』と白を切る統勇摩の発言に、電脳ハッカー・神城綾音はメラメラと闘志を燃やし、ハッキング技術を使って裏の金の流れをキャッチしようと動き出す。

一方の彩華も、統勇摩の発言の矛盾を突き、法的根拠による追及へ走る……。

果たして、電脳の竜と白理の狼は『T.C.S.L』の協力を受け、大物議員を親に持つ竹尾統勇摩を追い詰めることができるのか……!

第8話『帷に隠されし不正トランザクション(校内恐喝隠蔽事件・後編)』

「口は災いのもと……あなたの矛盾を突いて、法律のもとに跪かせて差し上げますわ」

次回もどうぞお楽しみに!

まとめ

『電脳の竜と白理の狼』第7話をお読みいただき、ありがとうございました。

つかの間の平穏は、ゲームショップでの「万引事件」の通達によって終わりを告げました。

その犯人が語った「上納金を工面するため」という衝撃の供述をきっかけに、学校の裏でうごめく悪質なカツアゲ・恐喝事件の構図が明るみに出ていきます。

巧妙な不正通信や金銭授受の影に潜む、新和党の大物議員を父親に持つ生徒竹尾統勇摩の傲慢な影――。

果たして「T.C.S.L」の面々は、その強大な親の権力という理不尽な壁をどう打ち砕くのでしょうか?

まさに電脳ハッキングと法律の力の見せ所となる、事件解決編・第8話『帷に隠されし不正トランザクション(校内恐喝隠蔽事件・後編)』も、ぜひ温かい目で見守ってやってください。

では、今回はこのへんで。次回もお楽しみに!

コメント

タイトルとURLをコピーしました