第12話『サッカー黄金世代トリオの闇と陸上女子の光』

小説『電脳の竜と白理の狼 〜デジタルハッカーと明治のリーガル・ガール〜』

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卑劣なリベンジポルノ脅迫に苦しめられていたサッカー部マネージャー・上条陽向の窮地を救い出し、無事に笑顔を取り戻せたことでT.C.S.Lの面々もようやく安堵できましたね。

今回は、T.C.S.Lのメンバー・夏見菖蒲の陸上部員としての活躍(光)と、私欲にまみれて没落したサッカー部黄金世代とその父親たちの顛末(闇)を描いていきます。

と、その前に、前回の第11話を簡単に振り返ってみましょう。

【第11話あらすじ】
私立妃比谷高校サッカー部女子マネージャー・上条陽向を襲ったリベンジポルノ脅迫事件

犯人はU-18日本代表にも選ばれた同校サッカー部の黄金世代——佐山利通、宮内崇、森田浩平の3人。

T.C.S.Lの鋭い洞察と電脳解析により、決定的な物的証拠を突きつけられた彼らの悪行は、白日のもとに晒されたのだった。

神城綾音の脳内プロット:第12話『サッカー黄金世代トリオの闇と陸上女子の光』

リベンジポルノを使った悪質非道な脅迫事件は、サッカー部でU-18にも選出されていた佐山利通、宮内崇、森田浩平の3人による犯行であることが判明し、ようやく事件解決に安堵の表情を漏らす被害者・上条陽向。

確かに、着替え中の写真がばらまかれようものなら、世間の目を気にして生きづらさを突きつけられるだろうし、そのピンチから脱出できただけでもホッとできたことは言うまでもないところだろう。

恐怖に震わされ傷つけられたものの、ようやく元の笑顔が戻ってきて周囲も一安心……。

一方、加害者の3名とその親であり界隈を震わせるサッカー界・スポーツ界の権力者たちは、全員地位を失い社会からのバッシングに晒され続けている。

犯行を行った佐山利通、宮内崇、森田浩平は、警察に逮捕されU-18からも追放……。

一部では、森田浩平の父親で現在サッカー日本代表監督を務める森田一浩氏から「一度くらいのミス」と擁護されたことを受けて、「未来ある高校生が一度くらいのミスで可哀想」と擁護する声も上がるが、被害者の心情に立つ女性たちからは非難の声が集まり、社会的制裁を求める声が高まっていく。

確かに「一度のミス」という言葉は、罪と向き合いしっかり贖罪した者が発していい言葉であり、安易に「一度のミス」や「未来」という言葉を使って悪質な性犯罪を許容することなどあってはならないと声を上げるのは常識的な話だ。

結果、彼らの愚行は世間から許されることなく、社会からも抹殺されていく……。

愚息の犯行を「一度のミス」で擁護した父・森田一浩氏は、今回の息子のスキャンダルを受けて代表監督を辞任……。

併せて犯行グループの一人だった宮内崇の父もJFA会長職を辞任……。

さらにスポーツ庁長官・佐山寛も、息子の佐山利通が犯したこの事件をきっかけにスポーツ庁長官を辞職する羽目に……。

反省している様子も見当たらず、学校も退学処分になり、父親まで巻き込んだ佐山たち3人は、世間から雲隠れするように消えていったのだった。

一方……

平穏な日常が戻ってきた私立妃比谷高校……。

T.C.S.Lのメンバーで陸上部のエースでもある夏見菖蒲が、インターハイに向けてトレーニングをしていた。

世間では、菖蒲が高校新記録を樹立するのではないかと大注目しているらしく、いつになくプレッシャーがかかっているようだ。

普段はメンタルの強い菖蒲であったが、それでも事件が起きるたびに部活動を抜けている手前もあり、「中途半端な成績は残せない」とプレッシャーに押しつぶされそうになっていた……。

それだけ、今回の大会にかける思いもひとしおだったのだろう。

そんな菖蒲に手を差し伸べたのが、陽向だった。

陽向がマネージャーを務めるサッカー部は、今回の事件勃発によって当面活動自粛となり、手が空いた陽向は、しばらく菖蒲のサポートを率先して行っていたのだった。

競技は違えど女子マネージャーとして活動していた陽向は手際が良い。

プレッシャーに押しつぶされそうになりながらも懸命にトレーニングを行う菖蒲をしっかりサポートし、大会当日を迎えた。

大会当日……

陽向はもちろんのこと、仕事が忙しくて抜け出せなかった理事長とあまり外出を好まない電脳ハッカーこと神城綾音を除くT.C.S.Lの面々が、競技場へと応援に駆けつける。

「菖蒲さん、のびのび走ってきてね……」と明るく笑顔で送り出す彩華や結衣、そして懸命にサポートしてきた陽向の姿を見て、「よし!やってやるか!」と気合を入れ直した菖蒲。

緊張の号砲が鳴ると同時に、菖蒲のスタートダッシュが決まり、序盤から逃げ切ってそのままゴールイン!

記録は52秒51と、日本の女子高生の持つ記録を更新!

予選から絶好調だった菖蒲は、終盤少しバテ気味だったこともあり記録こそ伸びなかったものの、見事優勝!

予選での日本記録更新を引っ提げ、見事な結果で栄光の光を掴み取ったのだった。

その帰宅後……

片桐邸にお呼ばれして、T.C.S.Lの面々に上条陽向を加えたメンバーで、ささやかながら優勝記念のパーティーが開催。

安堵の表情を浮かべながらも、満面の笑顔で一日が過ぎていくのであった……。

その直後に、また難事件が彼女たちに襲いかかるとも知らずに……。

AIが創ったストーリー・第12話『サッカー黄金世代トリオの闇と陸上女子の光』

悪夢のような事件の結末は、あまりにも迅速で、そして苛烈な社会的制裁となって加害者たちへ降り注いだ。

犯行が確定した佐山利通、宮内崇、森田浩平の3名は警察に逮捕され、当然のごとくU-18日本代表からも永久追放。私立妃比谷高校からも退学処分が下された。

しかし、波紋はそれだけに留まらなかった。

事件の過熱化に伴い、犯人の一人である森田浩平の父親で、サッカー日本代表監督を務めていた森田一浩氏がメディアの前に登壇。「まだ未来ある高校生だ。一度くらいのミスで若い芽を摘むべきではない」と発言したことが、火に油を注ぐ結果となったのだ。

「性犯罪を『一度のミス』で済ませるつもりか!」
「被害者の恐怖と苦しみを無視した身内擁護だ」

被害者の立場に寄り添う世間の女性たちを中心に批判の渦が巻き起こり、ネットや各種メディアでは猛烈なバッシングが吹き荒れた。罪と真摯に向き合い、十全に贖罪した者だけが口にできるはずの言葉を、己の保身と身内贔屓のために安易に使った代償はあまりにも大きかった。

結果として、息子の愚行を擁護した父・森田一浩氏は日本代表監督を辞任。
さらに、同じく犯行グループのメンバーであった宮内崇の父はJFA(日本サッカー協会)会長職を辞任に追い込まれ、佐山利通の父であるスポーツ庁長官・佐山寛氏もまた、世論の激しい糾弾に耐えかねて辞職を余儀なくされた。

権力を傘に着て好き勝手を働いていた親息子の両陣営は、その地位も名声も失い、社会から完全に抹殺される形となった。逮捕された当人たちからも最後まで真摯な反省の態度は見られず、世間の冷ややかな視線から逃れるように、彼らはひっそりと表舞台から姿を消していったのだった。

権力者たちの失脚と事件の収束を経て、私立妃比谷高校にはようやく平穏な日常が戻りつつあった。

校内のグラウンドでは、澄み渡る秋空のもと、T.C.S.Lのメンバーであり陸上部のエースでもある夏見菖蒲が、インターハイに向けた最終調整のトレーニングに励んでいた。

「ふぅ……ハァ……っ!」

トラックを駆け抜ける菖蒲の脚力は一際目を引く。世間やメディアでは「高校新記録樹立なるか」と大きな期待が寄せられており、注目度はこれまでになく高まっていた。

普段であれば持ち前の強靭なメンタルでプレッシャーを跳ね返す菖蒲だったが、今回はどこか表情が硬い。事件が起きるたびにT.C.S.Lの活動として部活動を一時離脱していた経緯もあり、「部員や周囲に心配をかけた分、中途半端な成績で終わるわけにはいかない」という強い責任感が、彼女の肩に重くのしかかっていたのだ。

そんな菖蒲の葛藤を察し、真っ先に手を差し伸べたのは、事件の恐怖から解き放たれた上条陽向だった。

所属していたサッカー部が事件の影響で当面活動自粛となった陽向は、自ら買って出て菖蒲の専属サポーターとして動いていた。
「菖蒲さん、タイム測定と水分の補給用意できました! フォーム、すごく綺麗ですよ!」

競技は違えど、優秀な女子マネージャーとして鍛え上げられた陽向の手際とサポートは完璧だった。陽向の真面目で明るい笑顔と細やかな気配りは、プレッシャーに押しつぶされそうになっていた菖蒲の心を柔らかく解きほぐしていく。

「ありがとう、陽向ちゃん……。私、自分のために走るつもりだったけど、陽向ちゃんやみんなが作ってくれたこの時間を、絶対に無駄にはしたくないよ」

心身ともに万全の状態で、菖蒲はインターハイ当日を迎えたのだった。

大会当日、熱気に包まれた陸上競技場。

観客席には、忙しい公務の合間を縫えなかった理事長の片桐果弦と、極度の外出嫌いである電脳ハッカー・神城綾音を除く、T.C.S.Lの面々——橘彩華と二階堂結衣、そして懸命にサポートを続けてきた上条陽向が駆けつけていた。

「菖蒲さん! 練習の成果を信じて、のびのび走ってきてね!」
彩華が弾んだ声で手を振れば、結衣も穏やかな笑みを浮かべて頷く。

「菖蒲先輩、行ってらっしゃい! 私たち、全力で応援してます!」
陽向の弾けるような笑顔と声援を受け、スタンドを見上げた菖蒲は、胸の奥から熱いエネルギーが沸き立つのを感じた。

(みんなが守ってくれた日常だから……私は全力で駆け抜けるだけだ!)

「よし! やってやるか!」

パンッ——!

緊張の号砲が響き渡ると同時に、菖蒲は完璧なスタートダッシュを切った。
最初のコーナーから圧倒的なスピードで後続を突き放し、序盤から単独首位でレースを引っ張る。
終盤、重圧と連日の疲労からややスタミナを削られバテ気味になる局面もあったが、気迫の走りでそのままトップでゴールイン!

掲示板に映し出されたタイムは——『52秒51』。

「やった……! 日本高校新記録だわ!」

予選での記録更新に加え、決勝でも見事に優勝を果たした菖蒲。栄光の金メダルと新記録をその手で掴み取った彼女のもとへ、スタンドから彩華たちが歓声をあげながら駆け寄っていく。陽向もまた、感極まった表情で菖蒲を抱きしめた。

「菖蒲さん、おめでとうございます……っ!」
「陽向ちゃん、支えてくれて本当にありがとう!」

晴れやかな秋空の下、そこには間違いなく、奪われかけていた平穏と本物の笑顔が存在していた。

その日の夜。

快挙を成し遂げた菖蒲を祝うため、片桐邸のサロンにはT.C.S.Lの面々と上条陽向が集まっていた。

「菖蒲、優勝ならびに高校新記録樹立、見事だったな」
片桐が満足そうにグラスを掲げれば、部屋の隅でタブレットを操作していた綾音も、珍しく素直に「おめでとう、菖蒲」と声をかける。

「ありがとうございます! でも、本当にみんなと陽向ちゃんのおかげだよ」
照れくさそうに笑う菖蒲の隣で、陽向も温かいジュースを手に、満面の笑顔を浮かべていた。

かつて暗闇と恐怖に震えていた少女の顔には、もう何の陰りもない。温かな料理と笑い声に包まれ、静かで満たされた時間がゆっくりと過ぎていく。

自分たちの手で日常を守り抜いたという安堵感。
しかし——彼女たちはまだ知らなかった。

この穏やかなパーティーのすぐ裏側で、またしても彼女たちの平穏を揺るがす恐ろしい難事件の影が、静かに近づいてきていることを……。

次回予告

束の間の平穏を打ち破ったのは、政界を激震させる一本の衝撃的な動画

ターゲットとされたのは、不正を追及する結信未来連合の元党首・澄川冴子とその息子で、妃比谷高校の生徒でありながら天才高校生ピアニストと称され注目を浴びる澄川真白

彼女たち親子が、全くの事実無根なフェイク動画を仕掛けられ、著しく名誉を傷つけられ心身疲労困憊の中T.C.S.Lに助けを求めてきた⋯

姿なき悪意が仕掛けた卑劣な罠に、追い詰められる冴子と真白。

絶望の淵に立たされた二人を救うため、T.C.S.Lが今、立ち上がる…⋯!

第13話「不協和音の残響と偽りの鍵盤(フェイク)(前編)」

「真実を乱す偽りの旋律……そのノイズはT.C.S.Lがすべて断ち切ってみせる!」

次回もお楽しみに!

まとめ

『電脳の竜と白理の狼』をお読みいただきありがとうございます。

因果応報という言葉の通り、私欲にまみれて罪を犯した愚者には天罰という闇が、懸命に努力し前に進む者には栄光と笑顔という光が与えられる物語となりました。

邪心を捨て、まっすぐ純粋な心で進むことこそが真の笑顔を掴む唯一の方法だと、少しでも伝われば幸いです。

さて次回は、またしても姑息で卑劣な事件が勃発します。

いま話題の「AIによるフェイク動画」を用いた誹謗中傷事件が、妃比谷高校を揺るがします。

果たしてどのような事件が彼女たちを待ち受けているのか……。

次回も温かい目で見守っていただけたら幸いです。

それでは今回はこの辺で。次回もお楽しみに!

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