第6話『浅田秀一郎への天罰 & 闇の探偵倶楽部「T.C.S.L」結成!』

私小説『電脳の竜と白理の狼 〜デジタルハッカーと明治のリーガル・ガール〜』

『電脳の竜と白理の狼』をお読みいただきありがとうございます。

ひとまず、橘彩華が転入して早々に発生した硝子の板(タブレットPC)の窃盗・破壊事件は幕を閉じました。

しかし、何ともやりきれない様子の彩華⋯⋯。

その裏では、電脳ハッカーとしての綾音の動きにより、秘かなる闇の裁きが下されようとしていましたが――。

では、その第6話の本編に入る前に、前回の第5話を軽く振り返ってみましょう。

第5話あらすじ
橘彩華が転入した私立・妃比谷高校で発生した硝子の板(タブレットPC)窃盗・破壊事件は、3人の容疑者が浮かび上がるも、嘘をついていた人物の一人・浅田秀一郎の犯行と判明。

綾音の電脳ハッキング能力や、彩華の巧みな法律の知識が噛み合って二人の嘘を見破り、事件は無事解決かに思われた……。

しかし、浅田秀一郎の祖父で大物国会議員の浅田宗一郎が裏で根回しを行い、二階堂結衣のタブレットPCを極秘裏に弁償させることで事件は強引にもみ消されてしまう。

何とも歯がゆく感じていた彩華だったが、事件を大きくしたくないという結衣の意向に加え、綾音の「浅田一族の化けの皮を剥ぎ取りに行こうぜ、相棒⋯⋯」という言葉に心を落ち着かせ、一旦事件の幕を閉じたのだった。

神城綾音の脳内プロット・第6話『浅田秀一郎への天罰 & 闇の探偵倶楽部「T.C.S.L」結成!』

二階堂結衣のタブレットPCを破壊し、悪質な嫌がらせに及んだ浅田秀一郎。祖父である大物国政議員の権力で一度は事件をもみ消したかに見えたが、その代償は果てしなく大きかった。

裏ルートで暴かれた収支報告書の矛盾により、壊されたタブレットの弁償金が「不正な裏金」の疑いとして浮上。

苦しい弁解もむなしく国会を追われ、メディアの標的にされたことで、浅田一族は社会的信用を完全に失墜させる。父親も天下り先を追われ、パパラッチに追われる日々となった秀一郎は、プライドをへし折られた末に、学校にいられなくなり自主退学の道をたどるのだった。

浅田家の崩壊から数日後。平穏を取り戻した日比谷高校の放課後、彩華たちは理事長・片桐果弦のもとを訪れ、今回の件の完了報告を行う。

その場に同行していた夏見菖蒲と二階堂結衣に対し、片桐は思いがけない提案を切り出す。
「改めて、橘彩華のサポートをお願いできないか?」

菖蒲はもともと影武者として配属されていたため事情を呑み込んでいたが、結衣にとっては青天のへきれき。何が何やら理解が追いつかない。

しかし、彩華が自分のためにタブレットを取り戻してくれた恩義があり、何より菖蒲を通じてかけがえのない友となった彩華を放っておけるはずもない。意を決した結衣は、片桐に「一体、どういうことなのですか?」と詰め寄り、真実を問い質すのだった。

すべてを聞かされた結衣は一瞬戸惑いつつも、彩華を支える仲間になることを決意する。
そして、事件解決を祝して片桐邸で開催された茶話会に呼ばれていた電脳ハッカー兼支援メンバーの神城綾音を加えた5名による影の探偵倶楽部が改めて結成される。

そのチーム名は 「T.C.S.L(Team Cyber Shadow Lawyers)」。

「何も事件が起きなければそれに越したことはない」――そう願う彼女たちの平穏は長くは続かず、つかの間の休息ののち、早くも次の事件の足音が近づいてくるのだった。

AIに書かせたストーリー・第6話『浅田秀一郎への天罰 & 闇の探偵倶楽部「T.C.S.L」結成!』

放課後の教室に、西日のオレンジ色が鋭く差し込んでいた。

「……納得がいきませんわ」

彩華は机の上に置かれた新品のタブレットPCを一瞥し、小さく息を吐いた。
数日前、二階堂結衣のそれがバキバキに破壊されていた事件は、浅田秀一郎の祖父──大物国政議員である浅田宗一郎のコネと財力によって、あまりにもあっさりと「現物弁償」という形で決着させられた。学校側もその権力に怯え、形だけの厳重注意で幕を引いたのだ。

どんなに悪質な犯罪を犯そうとも、金と権力の前には法律も正義も簡単に踏みにじられる。それが、この令和という現代社会の歪みなのだと知るたびに、彩華の胸中にはどす黒いモヤモヤが渦巻いていた。
隣で夏見菖蒲が、申し訳なさそうに眉をハの字に曲げる。
「ごめんね、彩華ちゃん。でも、結衣自身が『これ以上、大きな事件にして、学校にいづらくなりたくない』って怯えちゃってるから……今回はこれで終わりにするしかないの」

被害者本人がそう言うのなら、明治の法治国家に生きる身としても、これ以上踏み込む大義名分はない。歯噛みする彩華の耳朶を、突如として骨伝導のかんざし越しの電子音が打った。

『──おい、彩華。そんなに落ち込むなよ』

頭のなかに直接響く、どこか冷ややかで、しかし確かな熱を帯びた声。神城綾音だった。

「……神城様?」
『表の学校ごっこはこれで終わりだが……俺たちの本番は、ここからだろ?』

不敵な笑みが、インカムの向こうからハッキリと伝わってくる。
「実はな、あのクソ爺さんが揉み消しのために奔走した裏で、政治資金収支報告書のデータに致命的な矛盾を見つけたのさ。片桐のおっさんの許可ももらった。早速、週刊誌のタレコミ窓口に匿名で流してやったよ」

彩華が息を呑む。
『これで浅田家はもう終わりだ。法律が裁けないなら、闇の裁きを与えればいい。俺たちはそのためにいるんだからさ……』

その言葉に、彩華の胸につかえていた澱(おり)のようなものがスッと軽くなった。現代の法が届かぬ場所にあるのなら、彼女たちの「裏の手段」がそれを貫通する。
「ええ……。頼みましたよ、神城様」
彩華は静かに目を閉じ、かすかな笑みを浮かべた。

そして、数日後。
その報いは、音もなく浅田一族を呑み込んだ。

週刊誌の特ダネを皮切りに、テレビのニュースやネットの速報が一斉にその名を叩き始めた。
国会内の一室。フラッシュの嵐と怒号が飛び交う中、祖父である浅田宗一郎は青ざめた顔でマイクの前に立たされていた。
「――議員、このタブレットの極秘弁償に使われたとされる資金は、政治資金の不記載、すなわち裏金ではないのですか!?」
「野党からの追及にどうお答えになるおつもりですか!」
結衣のタブレットPCを強引にもみ消すために、少額だとはいえ十数万円もの裏金から捻出した工作資金の出所が完全に暴かれ、宗一郎は言い訳の言葉すら見失い、逃げるようにその場で頭を垂れるしかなかった。数日後、事件揉み消しのために行った不正により信頼を失った宗一郎は責任を取る形で議員辞職に追い込まれることとなる。
一方、秀一郎の父親もまた、天下り先の警備会社で職務上の機密漏洩が発覚し、即座にクビを宣告された。

そして、元凶である秀一郎の転落はさらに凄まじかった。
「おい、浅田! こっちを向け! 親父の不祥事についてどう思ってるんだ!」
自宅のマンション前や通学路の曲がり角。連日、飢えたハイエナのように群がるパパラッチのフラッシュとマイクが、秀一郎の逃げ道を容赦なく塞いだ。
「来るなっ……! 触るなよ!」
高級ブランドの制服は泥にまみれ、いつも周囲を見下していた高慢な態度は見る影もない。睡眠不足で目の下に濃いクマを作り、怯えた小動物のように周囲を警戒しながら走るのがやっとだった。プライドは完全にズタズタへとへし折られ、学校の廊下ですれ違う生徒たちの冷ややかな視線に耐えかねた彼は、ついに音を上げて妃比谷高校を自主退学していったのだった。

復讐や闇の裁きを、正面から肯定することは彩華の誇りが許さない。しかし、世の不条理に鉄槌が下されたその現実を前にして、彩華は不謹慎ながらも、胸のすくような満足感を覚えていた。

数日後。
事件の影が完全に去り、校内に穏やかな日常が戻った放課後――。

その頃、理事長室のデスクに座っていた片桐果弦は、端末を取り出すと、一息ついていた神城綾音へと通信を入れていた。
『……なんだよ、片桐さん。事件の片付けは終わったろ。今忙しいんだけど』
「そう言うな、綾音。今回の件の打ち上げを兼ねてね、私の自宅ですでにちょっとした茶話会を用意してあるんだ。先にそっちに行って待っていてくれないか」
『はぁ? 面倒くせぇな……。気が向いたら行くよ』
片桐からの不条理な呼び出しに、綾音は面倒くさそうにぼやきながらも、しぶしぶ自身の拠点から片桐の自宅豪邸へと向かわせるのだった。

それから少しして、理事長室の扉がトントンとノックされた。
やってきたのは、彩華と菖蒲、そして事件の当事者からすっかり笑顔を取り戻した結衣の3人だった。彼女たちは一連の事件の完了報告をするために足を運んでいたのだ。

理事長室で一通りの報告を終えると、片桐はふふ、と不敵な笑みを浮かべてこう切り出した。
「ご苦労だったね、三人とも。いやぁ、今回の件はお見事だったね。……そこで、ささやかながら事件解決の祝賀会を用意しているんだ。君たちも一緒に、参加しないかい?」

彩華、菖蒲、結衣の3人は事件報告終了後、そのまま片桐に誘導される形で、片桐の私邸である豪邸へと向かうことになった。

広々としたリビングに足を踏み入れると、そこには――少し先に呼び出されていた電脳ハッカー・神城綾音の姿がすでにあった。

「……まったく、片桐さんだよ。事件が一段落ついて一息ついてたってのに、わざわざ引っ張り出しやがって」

ソファにふんぞりかえり、不機嫌そうにティーカップを傾けていた綾音は、彩華たちの姿を見るなりわずかに眉をひそめる。
「なんだ、お前らも呼ばれたのかよ」

「あら、神城様こそ、どうしてこちらにいらっしゃるのですか?」と彩華が目を丸くする。
片桐は愉快そうに笑いながら、全員の席を用意して紅茶を差し出した。
「まぁまぁ、そう尖るなよ、綾音。事件が無事解決したんだ、みんなで顔を合わせて労をねぎらいたくてね」

こうして、事件解決を祝うささやかな茶話会が始まった。
ティーカップから立ち上るアロマの香りのなか、片桐はグラスを置き、真剣な眼差しを一同に向ける。

「今回の件で、君たちの絆も本物になった。そこでだ……正式に提案したい。これからも学内で起こる理不尽や、表沙汰にできない闇の事件を解決するため、彩華や綾音だけでなく、君たちも加わった『正式なチーム』として活動しないか?」

菖蒲は静かに紅茶を啜り、結衣は「私たちが……?」と驚きに目を見開いた。
「だって、結衣さん。君ももう、当事者であり、私たちの頼もしい仲間だ」
彩華が結衣の手を取る。「……私に、あんな難しいことができるでしょうか?」と戸惑う結衣だったが、隣で優しく微笑む彩華の顔を見ると、不思議と勇気が湧いてきた。
「彩華ちゃんが一緒なら……私、やってみたいです。あんな理不尽、もう誰にも味あわせてほしくないから」
「ありがとう、結衣さん」

面々が前向きに頷くのを見て、綾音は面倒くさそうに盛大にため息をついた。
「はぁ……。まったく、また面倒事が増えたよ……」
だが、そのソファの隣で、彩華が心底嬉しそうに目を輝かせているのを見てしまうと、彼の強がった仮面はすぐに剥がれ落ちた。

「……しょうがねぇなぁ。まぁ、彩華が良いと言うなら、今回は付き合ってやるよ。もちろん、俺は一歩も表に出ない。裏からの電脳サポート、それが条件だ」
「ふっ、頼もしいねぇ」と片桐が愉快そうに笑う。

こうして、明治の法衣をまとったリーガル・ガールと、現代の電脳ハッカー、そしてそれを支える仲間たちによる、影の探偵倶楽部がここに誕生した。

チーム名は、「T.C.S.L(Team Cyber Shadow Lawyers)」。

それぞれの思惑と正義を胸に、少女たちは手を取り合う。
――だが、彼女たちはまだ知らなかった。この学園の底に巣食う闇は、浅田家の比ではないほど深く、冷酷なものだということを。

つかの間の平穏の裏で、早くも次の事件の不穏な足音が、彼女たちの背後へと静かに忍び寄ってくるのだった。

次回予告

束の間の平穏が訪れたのも束の間、彩華たちの前に新たな脅威が立ちはだかる。

学園のカースト上位に君臨する有力政治家の愚息どもが、下っ端の生徒たちを標的に「いじめから免れたければ、グループの維持費として数百万円を払え」と、大金をカツアゲする悪質な恐喝事件が勃発した。

犯行現場に踏み込み、その場で生徒を咎める彩華たちだったが、連中は「これは有志の寄付金だ」「一時的に預かっているだけだ」と、口八丁手八丁で言い逃れて白を切るばかり。

しかも、その背景には「新和党」の大物政治家という巨大な権力がちらつき、迂闊に手出しができない膠着状態に陥ってしまう。

果たして、影の探偵倶楽部「T.C.S.L」は、この抜け目ない悪党どもを法律と電脳の力で追い詰めることができるのか――。

第7話「帷に隠されし不正トランザクション(校内恐喝隠蔽事件・前編)」

「政治家気取りの小細工……法と秩序で粉々に打ち砕く!」

次回、お楽しみに!

まとめ

『電脳の竜と白理の狼』第6話をお読みいただき、ありがとうございました。

大物政治家の圧力により理不尽に幕引きされたかに見えた硝子の板(タブレットPC)の窃盗・破壊事件

しかし、綾音のハッキングにより祖父・宗一郎の政治資金不記載が暴かれ、浅田一家は完全失墜。因果応報の天罰が下りました。

事件後、彩華、菖蒲、結衣の3人は片桐の誘いで綾音と合流し、影の探偵倶楽部「T.C.S.L」を結成

しかし、早くも次の事件が勃発。大物政治家の親を盾に、寄付金と称して高額なカツアゲを隠蔽する愚息どもを相手に、T.C.S.Lはどんな裁きを下すのか?

次回第7話も、どうぞ温かい目で見守っていただけますと幸いです。

皆さんお楽しみにね!

コメント

タイトルとURLをコピーしました