世間は5Gと賑わっていますが、「5Gが登場して一体何が変わったのだろうか? そもそも5Gって名前だけでちゃんと使えているの?」と首をかしげているユーザーは、私も含めてたくさんいることと思います。
しかし、その状況に真っ向から逆らうかのごとく、IT業界では「5G Advanced(5.5G)」や2030年代に登場するかもしれない「6G」といった新たな技術が話題となり、社会インフラのあり方が根本から変わろうとしています。
では具体的に、5G登場から今に至るまでの現状、そしてその先に続く「5G Advanced(5.5G)」や6Gによって、IT社会はどのように進化(あるいは変化)していくのでしょうか。
私自身も非常に気になるテーマですので、その違いや進化について整理してまとめていきたいと思います。
そもそも5Gって何? 4Gとの違いと「使えている感」がない理由

スマホを使っているとよく耳にする「5G」というワード。
結論から先に言ってしまうと、この言葉は単純に「第5世代(5th Generation)」という意味で使われています。
これまでの携帯電話の歴史を振り返ってみると、進化に伴って呼称が変わってきました。
- 3G(第3世代): ガラケー全盛期(メールや簡易Webが中心)
- 4G(第4世代): スマホの普及(動画視聴やSNSが快適に)
- 5G(第5世代): 現在移行中の最新規格
現在も多くの方がスマホを愛用しているため、「今使っているのも4Gなんじゃないの?」と疑問に思う方も少なくありません。
それもそのはず、「5G」はガラケーからスマホに変わったときのように「外見がガラリと変わる」わけではないからです。
どちらかというと、「見た目は同じスマホのまま、中の性能や通信の仕組みが劇的に進化した」というイメージに近いため、パッと見で違いが分からなくて当たり前なのです。
しかも、現在はまだ5Gの対応エリアが限られていたり、場所によっては「パケ詰まり(電波表示は5Gなのに通信が進まない現象)」が起きたりして、恩恵をガッツリ受けている実感が少ないと感じるシーンも多いのが現状です。
本来、5Gは4Gの約10倍とされる通信速度だけでなく、
- 遅延がほぼゼロ(超低遅延)
- 同時にたくさんの機器がつながる(多数同時接続)
という強力なスペックを持っています。
では、なぜこれほどすごい技術なのに、私たちは「ちゃんと使えている」と実感しにくいのでしょうか?
その裏には、5Gのインフラ整備における「ある現実」がありました。
なぜ「すごさ」を実感できない? 5Gインフラ整備の3つの壁

正直なところ、過去に「docomo iモード」が登場したガラケー時代からさまざまなスマホを使ってきた私でさえ、「本当に5G使えてる…?」と感じるほど、その恩恵をあまり実感できていないのが現状です。
それもそのはず。5Gが登場し始めた頃には、
- 4K/8Kの超高画質動画が一瞬でダウンロードできる
- スタジアムや音楽フェスなどの大混雑するイベントでもサクサク繋がり、リアルタイムで盛り上がれる
といった、劇的な変化をもたらす夢のような未来が語られていました。
これはまるで、「リニアモーターカーが開通すれば日本全国どこへでも一瞬で移動できる」と期待されている今の状況によく似ています。
リニアもインフラ整備や駅の問題などで遅れが見られ、「本当に誰もが気軽に使える未来が来るのかな?」と少し不安になりますよね。
5Gも同様に、「何万人規模が一斉に繋がる」という素晴らしい理想を掲げながらも、現実にはインフラ整備が追いつかず、3つの大きな障壁に悪戦苦闘しているのです。
では、その3つの障壁とは一体何なのでしょうか?
【障壁1】5Gを支える「2つの電波」が抱える弱点

「5G」は、4Gの約10倍とされる通信速度に加え、「超低遅延(遅延がほぼゼロ)」や「多数同時接続(多くの機器が同時につながる)」を強みとした進化世代の通信規格です。
しかし、これらを実現するために不可欠な2種類の電波にそれぞれ弱点があり、インフラ整備が思うように進んでいないのが現状です。
その2種類の電波とは「ミリ波」と「Sub6(サブシックス)」です。
ミリ波は電波の直進性が強く、建物などの障害物に弱いという難点があります。
その反面、ピンポイントな狭いエリアであれば大人数が集まっても快適に同時通信できるため、大型スタジアムやショッピングモールのフードコートなどで導入されている例が見られます。
とはいえ、使える場所がいまだ限定的であり、ユーザーが恩恵を実感しにくい印象は否めません。
一方のSub6は、ミリ波と異なり電波が遠くまで届き、障害物にも強い特性を持っています。
しかし日本国内においては、主に3.7GHz帯・4.0GHz帯・4.5GHz帯を使用しており、これが衛星放送中継の周波数帯と隣り合っているという課題がありました。
そのため、5Gの電波を強く出しすぎると衛星放送にノイズが発生してしまうおそれがあり、携帯会社に対して基地局の電波出力を制限する措置が取られてきたのです。
近年では衛星側の設備改修が進んだことでこの出力制限が解除され始め、今後より利用しやすい環境が整っていくと考えられます。
ただし現時点では、4GからSub6へスムーズに電波が切り替わらないケースがあり、都市部や駅前など人が密集する場所で「アンテナ表示は5Gなのに通信が進まない(パケ詰まり)」が発生することもあります。
ミリ波と違ってSub6は遠くまで電波を飛ばせるものの、密集したエリアで大勢を一斉につなげることにはやや不向きです。
いずれにしても、5Gを支える「2つの電波」が日本全国いたるところで網羅されているわけではなく、局地的にしか使われていないことが現状の大きな問題なのです。
【障壁2】画面は「5G」でも中身は4G?(4G周波数転用の存在)

私たちは普段、電波という目に見えないものを使っています。
そのため、今4Gを使っているのか、それとも5Gを使っているのかを知るには、通信速度の速さやつながりやすさを実感するか、あるいはスマホ画面に表示されている「5G」(または「4G」)という表記を見て確認するしかありません。
しかし実際のところ、画面上に「5G」と表示されていても、中身は既存の4G電波を転用しているだけのケースが多く存在します。
使っている電波自体が4Gであるため、通信速度も思ったほど速くならず、つながりやすさも以前と変わらないという印象を受けてしまうのです。
スマホ上の表示と、理論上の5Gサービスがもたらす体験との間にギャップがあるため、「5Gを使っているはずなのに、意外と恩恵を受けられていない…」と感じてしまうのでしょう。
5Gのインフラ整備に時間がかかるのは仕方ない面もありますが、こうした転用による表示と実態の乖離が、ユーザーの困惑と落盗(落胆)を生む大きな障壁となっています。
【障壁3】基地局の整備の遅れ

Sub6と異なり、ミリ波においては先ほどお話しした通り、「電波が遠くまで飛ばない」という大きな弱点を持っています。
その分、通信速度は圧倒的に速いため、より多くのユーザーに5Gを届けるためには基地局の整備が必要不可欠です。
しかし、遠くまで電波が届かないとなると、エリア全体を網羅するためには膨大な数の基地局を新たに増設していかなければなりません。
その数はまさに甚大です。
街中の至る所に基地局を建てようとすれば、莫大なコストだけでなく、設置場所の確保から工事に至るまでの時間と労力が果てしなくかかります。
特に経済的にも厳しい今の時代、ドコモやソフトバンク、auといった大手キャリアであったとしても、それらのコストと労力をすべて賄うのは難しく、どうしても整備に時間がかかってしまうのです。
その結果、実質的に4G回線を転用せざるを得なくなり、ユーザーが5Gの恩恵をあまり感じられないという状況に陥ってしまうのです。
以上のような3つの障壁が重なり合った結果、5Gは華々しく登場したものの、その恩恵を実感できているユーザーは意外と少なく、私をはじめ「5Gって結局何?」「何が変わったの?」と首を傾げてしまう人が多いのが現状なのです。
「5G Advanced(5.5G)」や2030年代に登場すると言われる「6G」がつくる未来のIT社会とは?

はっきり言って、先ほどもお話しした通り、本来のポテンシャルさえ発揮できれば、5Gはあらゆるユーザーに快適でつながりやすいネット環境を提供できるはずです。
しかし現実問題として、3つもの障壁を抱えているために、なかなかその恩恵を届けられていません。
それなのに、気の早いことに世間では「5G Advanced(5.5G)」や「2030年代の6G登場」などが謳われています。
これは、まるで、「21世紀にはタイムトラベルや人体冷凍保存が実現する」と語られていた1990年代を見ているかのような話です。
誇大な理想を掲げながらも、そのほとんどが実現できていない現実を直視させられているかのような既視感すら覚えます。
そんな中でも、過去には、中国で「5G Advanced(5.5G)」や「6G」をも見据えたコンテンツを開発しようとしているとITmediaでもニュースとして報じられています。
引用元ニュース記事:5Gのキラーコンテンツは中国で生まれる? 「5.5G」「6G」も見据え世界をリードする存在に
もちろん、日本が世界に遅れを取っている事は間違いない話だと思いますが、いくら海外の技術が進んでいるからとはいえ、なんとも気が早く感じられる話ですよね。
ただ、この2023年に報じられたニュース記事でも、報道があった当時の中国で、既に5Gサービスの加入者だけでも10億回戦以上もあるというのですから、実に驚きな話です。
これなら、リアルに「5G Advanced(5.5G)」や「6G」を謳うのも理解は出来ますよね。
まぁ、日本では当分先の話となりそうですが、この「5G Advanced(5.5G)」や「6G」によって私たち人類におけるIT社会はどのように進化していくのでしょうか?
「5G Advanced(5.5G)」で進化する世界

5Gは、動画の閲覧やダウンロードといった「下り(受信)」に重きを置いた設計でした。
そのため、動画のライブ配信や高画質な監視カメラの映像送信といった「上り(送信)」の通信がやや手薄になっていた側面があります。
また、Sub6のように人が密集する場所でうまく電波をつかめず、パケ詰まりを起こしてしまうトラブルも抱えており、5Gの恩恵を十分に受けられていないユーザーが多いのが現状です。
しかし、「5G Advanced(5.5G)」は、AI技術を存分に活用しながら、5Gが抱えていたこれらの弱点をしっかりカバーしてくれます。
単に動画を見てダウンロードする受信だけでなく、大容量の動画ファイルをアップロードして即座に配信したり、サッカーのスタジアムでリアルタイムのデータを見ながら大人数で盛り上がったりといった体験が可能になってくるわけです。
さらに、従来のGPSだけに頼っていた位置情報とは異なり、5.5Gではセンチメートル単位の正確な位置情報を提供できるようになります。
あわせて、省電力・軽量な「RedCap(レッドキャップ)」の普及によるバッテリー性能の向上など、AIを活用することで5.5Gは私たちの暮らしに直結した利便性をもたらしてくれるのです。
6GがもたらすIT社会とは?

「5G Advanced(5.5G)」の世界を知るだけでも、正直なところかなり画期的で利便性が追求された優れた世界という印象が拭えません。
では、これよりもさらに進化した『6G』がもたらすIT社会とは、果たして、どんな世界として描かれているのでしょうか?
大きくまとめると、6Gでは以下の4つの世界が実現されると言われています。
- エリアの概念が消え、陸海空はもちろんのこと、山奥や洋上・宇宙などこれまで地球上で電波が繋がりにくかったエリアもつながりやすくなり、被災地との繋がりや危険な状況下で救助を求めることも可能。
- 現実世界を再現し、交通・災害予測による被害軽減や、手術・投薬シミュレーションによる医療ミスの防止など、未来のトラブルを未然に防ぐシミュレーションが可能になります。
- 映像を超えた「五感伝送」と「立体ホログラム通信」によって、味覚や嗅覚によるグルメ番組での味の伝達や、遠隔地でのロボットアームを使った医療行為などが実現可能となる。
- 人間拡張をもたらし、人が入っていけないような災害現場でもリモート作業による救援活動も、今何かと注目されている完全自動運転等による交通事故防止にも繋げられる。
これらのことが実現できることで、単純に通信が向上するというレベルではなく、まるでSFに登場するようなガラリと変わる世界観が体感でき、災害や事故を防ぎ、医療ミスを無くしてより安心安全な社会が実現できると謳われています。
確かに、自動運転機能を持つ乗用車やロボットアームを使って遠く離れた場所から手術して治療を行う話など、色々話題には上がっていますよね。
こんな景色が当たり前に実現されたら実に素晴らしい話ですし、それが2030年に訪れるとなるとワクワクしてきます。
果たして、その様な世界が現実に起こりうるのか、今後に注目していきましょう。
『5G Advanced(5.5G)』や『6G』の展望 〜「日本で進化する未来は本当に訪れるのか?」を独自考察!〜

「5G Advanced(5.5G)」や「6G」が実現されていけば、今被災して苦しんでいる能登や熊本のような地域への復興支援も格段に進むでしょうし、通信サービスによって日本全体が大きく盛り上がれるはずです。
しかし、どんなに素晴らしい技術であっても、実現できなければそれはただの夢物語に過ぎません。
では、実際に日本でこのような技術が2030年代に実現できるのでしょうか?
ここからは、あくまで私個人の主観でお話しさせていただきますが、結論から言ってしまうと「現実的に普及するのは2040年以降まで時間がかかるのではないか」と考えています。
よく考えてみてください。
5Gでさえ2020年3月に登場してからかなりの月日が経ちますが、いまだに局地的にしかサービス展開できていないのが日本の現状です。
先ほどもお話ししたように、中国ではすでに10億回線以上の5G契約が結ばれている一方で、日本では5Gの恩恵をしっかり受けられているユーザーがごく一部にとどまっています。
ルーターやスマホなどの端末側は5Gに対応していても、「それが本当に活躍する場があるのだろうか?」と思ってしまうほど、一般大衆に広く普及していません。
このような状況下で、諸外国と肩を並べるような技術の進化がスムーズに訪れるとは、到底思えないのです。
結果としてますます格差が広がり、中国やアメリカが「7G」や「8G」といった次々世代の話をしている最中に、日本は遅れを取りながらようやく5Gの普及を終え、そこから「5G Advanced(5.5G)」の開発に着手する……
そんなシナリオさえ頭をよぎり、日本のIT社会の未来に対して危惧を抱いてしまいます。
せっかく出来ることが格段に増え、人類にとって素晴らしいサービスへと進化している通信技術であるにもかかわらず、それを使いこなせずに右往左往してしまうのだとしたら、あまりにも悲しいですよね。
このような悲劇を避けるためにも、日本のIT技術者の方々の尽力と、それを強力にバックアップする政治や社会の力に期待したいところです。
まとめ
今回は、通信の世界でよく耳にする「5G」とは何なのか、そして5Gの恩恵を受けられていないと感じる理由や、その先にある「5G Advanced(5.5G)」や「6G」といった未来の話について、私なりの視点でお話しさせていただきました。
「5G Advanced(5.5G)」や「6G」の未来が実際に訪れれば、被災して苦しんでいる方々への復興支援や、医療技術の進歩による安全な治療の実現など、さまざまなシーンで私たちの暮らしを向上させてくれるはずです。
しかし、日本国内においては5Gでさえインフラ整備が遅れ、なかなか一般大衆に普及しきれていない現状があるだけに、「5G Advanced(5.5G)」や「6G」が訪れる未来はまだまだ何十年も先のように思えてしまいます。
せっかくの素晴らしい通信技術ですので、少しでも早くその未来が訪れることを切に願うばかりです。




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