「Hello, World!」のルーツ!アップル製品「こんにちは」との共通点

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C言語のprintfやPythonのprintなど、プログラミング学習において、どの言語でも最初に習うのが「画面に文字を表示する構文」です。

そして、その出力例として必ずと言っていいほど登場するのが「Hello, World!」という言葉ですよね。

ただ、そこで素朴な疑問が⋯

プログラミング言語が変わっても、何故、こぞってこの文章が選ばれるのでしょうか?

単なる慣習なのか、それとも何か特別な理由があるのでしょうか?

きっと、私も含めて気になった方も多いと思います。

そこで、本記事では「Hello, World!」が生まれた歴史とルーツを徹底解説!さらに、アップル製品(Mac・iPad・iPhoneなど⋯)の初期画面に現れる多言語の「こんにちは」との意外な共通点にも触れていきます。

プログラミング言語で最初に習う文字の表示「Hello, World!」とは?

普段スマホやPCを使っていても、「プログラム」を意識することって滅多にありませんよね。

プログラミングを全く触らずに過ごしてきた、という方のほうが圧倒的に多いはずです。

もちろん、それはごく自然なことです。

IT技術が進んだおかげで、今やブログを書くのにHTMLやCSSといったコードを書く必要はほとんどありません。

さらに最近ではAIの進歩により、大まかな指示(雰囲気)だけでアプリを作れてしまう「バイブコーディング」という技術まで登場しています。

※バイブコーディングに関する話題は過去に記事にしていますので、気になる方はぜひ下記からご覧ください。

関連記事:AIで誰もがアプリ開発!バイブコーディングのリアルとハルシネーション

このように、プログラムに触れずに過ごせる時代になったのは、技術が便利になった証拠でもあります。

ちなみに私自身はというと、過去に専門学校でC言語やアセンブラを習い、会社員時代に少しCOBOLをかじり、現在はPythonを独学中……という経歴です。

途中でHTML/CSSを覚えてホームページを立ち上げたこともありますが、正直それほど精通しているわけではありません。

なにせ、途中の「関数」で挫折したくらいですから(笑)。

それでも、こうして日々ブログを書き続けることはできています。

ただ、そんな「プログラミングを一度でもかじったことがある人」なら、誰もが必ず通ってきたある共通の「お約束」が存在します。

それが、プログラミング言語の学習で一番最初に習う、「Hello, World!」という文字を表示させる構文です。

私自身もこれまで、「文字を表示させる練習なんだな」と、おまじないのように受け入れて通り過ぎてきました。しかし、ふと立ち止まって考えてみると、ちょっと不思議だと思いませんか?

プログラミング初心者に挨拶をさせたいのだとしても、わざわざ「Hello, World!」にする意味はありませんよね。

直訳すると「こんにちは、世界!」ですが、正直「いきなりそんな大それた挨拶をされても……」と身構えてしまいそうです。

挨拶なら「おはよう」でも「こんばんは」でもいいはずなのに、なぜか世界中で、あらゆるプログラミング言語において「Hello, World!」が通過儀礼のように使われ続けています。

一体なぜ、この言葉がプログラミングの第一歩になったのでしょうか?

次の章では、この「Hello, World!」の表示を最初に習う理由やルーツについて掘り下げて解説していきます。

プログラミング最初の一歩「Hello, World!」の由来とは?隠された意味とルーツを紐解く

前の章でもお話ししていた通り、多くのプログラミング言語で最初に「Hello, World!」という挨拶文を表示する構文を習います。

私自身もこれまで、一つのおまじないとして習ってきたこともあり特に気にしていなかったのですが、あらためて考えてみると、その意味やルーツが非常に気になりましたので、その意味や理由・ルーツについて詳しく調べてみることにしました。

何故「Hello, World!」だったの?その意外な意味・理由とは?

あらためて、何故プログラミングを習う最初の構文で「Hello, World!」という挨拶文が用いられていたのか調べてみると、実に興味深い話が見えてきました。

この「Hello, World!」が最初の一歩として使われている意味・理由には、大きく分けて「技術的な理由」と「心理的な理由」の2つが存在していたのです。

技術的な意味・理由

技術的な側面からは、以下のような理由が挙げられます。

  • 大文字・小文字・句読点・感嘆符・スペースが含まれており、文字が問題なく表示できるかテストするのに最適な文字数と構成であるため
  • 開発環境が正しく構築され、プログラムが正常に動作するかテストするため

確かに、「Good Morning!」だと句読点(カンマ)が抜けていますし、その割には少し文字数も長めです。

「Hello, World!」は文字数的にもコンパクトでありながら、多種多様な文字の表示テストと環境確認が同時にできるという点で、非常に優れていたわけですね。

心理的な理由

一方で、心理的な理由もあります。

プログラミングを行うエンジニアは、学校の教師と生徒のような関係というよりも、パソコンと一対一で対話しているような感覚に近いものがあります。

そんな空間で、これからプログラムを始めようとする画面に向かって、例えば「Good Morning! everyone」や「Good Night!」といった言葉を表示させると、時間帯やシチュエーションによってはどこかシュールで違和感を覚えてしまいます。

これからコンピュータとやり取りしながら一つのプログラムを作り上げていくうえで、プログラムを通じて「外の世界」と対話していくという意味合いから、「Hello, World!」が心理的にも最も自然で適切だったのです。

QWERTY入力も関係している?

ここからは私個人の推測に過ぎず、明確な文献が見つかっているわけではないので軽めにお読みいただきたいのですが……もしかすると、キーボードの「QWERTY配列」とも何かしらの関係があるのかもしれません。

「Hello, World!」は一見どこにでもありそうな短い挨拶文ですが、QWERTY配列のキー配置を見ていくと、実は左右の指をバランスよく使い、多種多様なキータッチを求められる配置になっています。

実際にホームポジションを意識して入力してみると、以下のような指の分担になります。

  • H:Shift(左手小指)+ H(右手人差し指)
  • e:左手中指
  • l・o:右手薬指
  • W:Shift(左手小指)+ W(左手薬指)
  • r:左手人差し指
  • d:左手中指
  • 「,(カンマ)」:右手薬指
  • 「!(感嘆符)」:Shift(右手小指)+ 1(左手小指)

このように、「Hello, World!」は、特定指の連続連打に偏ることもなく、左右の指をバランスよく使いながら入力を求められる文章であることが分かります。

短すぎず長すぎず、動作確認やタイピングのウォームアップとしても絶妙なキー配置だからこそ、QWERTY入力において「Hello, World!」という文字表示が最初の構文として定着しやすかったのかもしれません。

※ちなみにQWERTY入力のルーツなどについても過去に解説していますので、気になる方はぜひ下記の記事も併せてお読みくださいね!

関連記事:毎日使うキーボードの「Q」「W」「E」…打ちにくい並び順の裏にある150年前のドラマ

以上が、プログラミング言語で最初に習う表示文章が「Hello, World!」である意味・理由です。

私たちが何気なくおまじないのように使ってきたわずか12文字の中には、実に合理的で深い理由が隠されていたというわけですね。

「Hello, World!」がプログラミング学習で最初に登場したルーツ!

続いて、「Hello, World!」がプログラミング学習の最初に登場するようになったルーツについても掘り下げていきましょう。

事の始まりは1972年。

現代のコンピュータ技術の礎を築いた「ベル研究所」に所属していた、ブライアン・カーニハン氏が執筆した内部向けのプログラミング入門書(B言語のマニュアル)がルーツと言われています。

では、何故、カーニハン氏は入門書に「Hello, World!」という文章を使ったのでしょうか?

カーニハン氏は後年のインタビューで、「記憶は定かではないけれど、当時観ていた子供向けのテレビ番組(カートゥーン)に出てきたセリフから思いついたから、そのまま書いたんだと思う」と語っています。

実は厳格なルールがあったわけではなく、ちょっとしたひらめきと遊び心がすべての始まりだったのです。

そして1978年、C言語の生みの親であるデニス・リッチー(Dennis Ritchie)氏とともに、共著として発行した書籍『The C Programming Language』の中でも、最初の例題として、以下のプログラムが掲載されました。

このように実際のコード例として記されたことで、「Hello, World!」はプログラミング言語で最初に習う構文として一気に定着していったそうです。

もともと、彼らの著書である『The C Programming Language』は、プログラマーの間では「バイブル」として愛用されていた書籍でした。

C言語自体、私も含めてプログラミングを習う人たちの多くが一度は習う言語として定着していた超有名言語ですから、その中で最初に習う構文に「Hello, World!」が用いられたというのも、この話を聞いてなんとなく納得できますね。

偉人たちへのリスペクトと文化の継承

C言語の入門書として普及したブライアン・カーニハン氏とデニス・リッチー氏の共著『The C Programming Language』が多くの技術者の間で普及し始めると、彼らが提唱した「Hello, World!」という言葉は、瞬く間に定着していきます。

そして、「Hello, World!」という言葉をプログラムで最初に習う文字表示の言葉として、1980年代以降に登場した後発のプログラミング言語(C++、Java、Python、JavaScript、Ruby、Go)でも、最初に習う表示文字の構文として使われるようになります。

B言語からC言語として世の中に普及することに貢献した二人の偉人に対するリスペクトと、文化の継承が、今の時代にも受け継がれているわけです。

以上が、プログラミング学習で「Hello, World!」という言葉が最初に登場した意味・理由とルーツについての話でした。

正直なところ、確かに最初はTVアニメの何気ないセリフがきっかけだったのかもしれません。

しかし、「Hello, World!」というたった12文字の言葉には、私たちが想像もしない濃密な意味合いと、偉人たちのひらめきやロマンも隠されていたと思うと感慨深いものがありますね。

また、「Hello, World!」という言葉をきっかけにプログラマーとPCが「やあ、世界(人間たちの住む世界)!」と挨拶を交わして繋がるという光景は、何かと希薄になりつつある今の時代において、繋がることの大切さを教えてくれているような気もします。

今の時代に何かと注目されているAIに対しても、時に激しくぶつかりながら、でもどこかで繋がり共に歩んでいくからこそ新たな文化も創出出来ると考えると、人と人・人とITの繋がりは壮大なロマンに繋がる話だなと思います。

iPhoneやMacの初期画面「こんにちは」に隠された『Hello, World!』との意外な共通点

最後に、現在多くのユーザーに愛用されているApple製品(Mac・iPad・iPhone)で、初めて電源を入れた際に画面に大きく表示される世界各国の「こんにちは(hello)」表記についてお話ししましょう。

実は、この表記にも『Hello, World!』と密接に絡んだ意外な共通点が存在します。

そもそも、Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズ氏は、プログラミング界の偉人であるブライアン・カーニハン氏やデニス・リッチー氏らを深くリスペクトしていたと言われています。

そして、1984年に初代Macintoshを発表した際、彼らへの敬意を表し、『Hello, World!』をオマージュして画面に手書き風の「hello.」を表示させたのがすべての始まりでした。

もちろん、公式な記録として明言されているわけではなく、その真相は、ジョブズ氏亡き今となっては確認することは出来ません。

しかし、ブライアン・カーニハン氏とデニス・リッチー氏が築いた文化と功績が、後世のエンジニアやApple製品にまで大きな影響を与えていることだけは間違いなさそうですね。

なお、この「こんにちは」表記も、ただユーザーを歓迎しているだけではありません。

『Hello, World!』と同様に、システム上の重要な“テスト”としての役割を兼ね備えています。

  1. 技術的な共通点(システムの生存確認)
    ディスプレイ、OS、グラフィックエンジン、タッチセンサーなど、複雑なシステムがすべて正常に立ち上がり、「ユーザーと対話する準備が完了した」という動作確認の証明(スモークテスト)になっています。
  2. 心理的な共通点(人間との繋がりと第一声)
    単なる冷たい精密機械(金属やガラスの板)でしかない端末が、持ち主となる人間に対して最初にかける「第一声」。ユーザーとの繋がりを持ち、温かみあふれるデバイスとして歩み寄るための心理的な演出として「こんにちは」という言葉が選ばれているのです。

プログラマーが黒い画面に向かって打ち込む「Hello, World!」も、私たちが新しいiPhoneやMacを開いたときに目にする「こんにちは」も、どちらも「無事に生まれた機械が、初めて人間や外の世界と繋がるための挨拶」という意味で、全く同じDNAを持っていると言えますね。

単なる「文字を表示させるためのおまじない」だと思って通り過ぎていたわずか12文字の言葉。

しかしそこには、技術的な合理性はもちろんのこと、半世紀前からの歴史、そして人間とIT機器を繋ぐ壮大なロマンがギュッと詰まっていました。

これから新しくプログラミングに挑戦する方も、あるいは新しいデバイスを手にする方も、画面の中に現れる最初の挨拶に少しだけ思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、プログラミング学習で最初に習う表示文字「Hello, World!」の意味や理由、そしてこの文字が使われ始めたルーツを調査してまとめてみました。

普段何気なく打ち込んできた「Hello, World!」というわずか12文字ですが、実はこの中には動作環境のテストやエンジニアに対する心理的配慮など、大きな意味合いが隠されていました。

またその思想は時代を超えて引き継がれ、現在多くのユーザーに愛用されているApple製品(Mac・iPad・iPhone)の初期画面に表示される世界各国の「こんにちは」表記にも受け継がれています。

単なるおまじないとしてだけでなく、その奥に広がる意味合いや、私達ユーザーとITを温かく繋ぐ素敵な言葉として——。

「Hello, World!」はこれからも多くの人々に親しまれながら、IT業界の大切な文化として紡がれていくのだと思います。

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